香取正博のブログ

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美容師は既得権益?美容師の人手不足についてあれこれ考えてみた

おはようございます香取です。

 

久しぶりに美容師業界のことを書いてみようと思います。

 

過去にも取り上げましたが、美容業界は人手不足と言われているようです。

しかし美容業界に限ってはちょっと特殊であり、個人的には健全な人手不足ではないと考えています。


美容師の失業率や求人倍率などの明確な統計がないので、店舗数・従業者数・市場規模で考えてみた。

 

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出典:http://www.stylist.co.jp/

 

低価格サロンの台頭、小規模サロンと人気サロンの増加、そしてビューティーガレージの居抜物件サービスなどにより、廃業数より開業数が上回り続け、延々と供給過多が進んでいます。


さらに従業員数も増加傾向であり、同時に市場規模が下がり続けているので、需要<供給のデフレギャップ状態です。


健全な人手不足というのは、需要>供給のインフレギャップ状態またはインフレ移行期と考えますが、

美容物価指数も合わせると美容業界は完全なるデフレ経済といえるので、人手不足の本質はただ単にサロンの数があり過ぎるだけと考えています。


そこで人手不足を解消するには、「美容師の雇用を考える」でも取り上げましたが、マイナンバー制度も導入されることから、雇用環境を整えることだと思います。


さらに人手不足であるなら、労働者有利となってしまうため給与も増やさなければ獲得は厳しくなると同時に、以上に対応できないサロンが今後、淘汰される時代になると考えています。


もうひとつ人手不足の問題を解決する方法として美容師紹介・派遣するという意見もある。


しかしこれは現在の美容業界では当てはまらないと考える。


デフレの環境下では基本的には失業率が高まり、人余りになる傾向があるにも関わらず、美容業界はデフレ環境にありながら人手不足という特殊な環境である。


おそらくこれは美容師国家資格免許という規制があるので、異業種からの新たな労働参加を高めることが不可能だからでしょう。


新たな労働参加ができるのは、新卒美容師の毎年約1.8万人と、引退した未知数の美容師しかおりません。


これらの労働参加をさせるにはやはり雇用環境整備と給与アップ。

これができるサロンのみ人材獲得ができるので、それらのサロンを限定にした人材紹介サービスであれば可能性はあるだろう。

しかしサロンも給与・法定福利費が増加することが予想されるので、わざわざ支出をしてまで人材紹介サービスを利用しようとは思わないだろう。


と、色々考えるとやはりそこまで繁盛していないサロンは今後ほんとうに苦境に立たされることとなるでしょう。


なので私は美容業界から撤退したのであります(笑)


最後に余談だが、


では美容師国家資格を規制緩和して労働参加率を高めるべきだ!

規制緩和をしなければ美容師だけの市場なんて既得権益だ!

構造改革するべきだ!


とやっているのが現在の構造改革論者である。


代表的なのが先日のブログで登場した竹中平蔵氏である。


市場規模縮小の美容業界で規制緩和をしてしまったらますます競争相手が増加し、さらなる需要争奪戦となり同時に総所得も下がってしまう。


そして低賃金労働者が増えれば、資本力のある経営者だけが稼げる仕組みとなる。

サロン経営者は美容師免許は必要ない。


そして彼らはとても賢すぎるので、

例えばまずは管理美容師免許を撤廃!

それとシャンプーぐらい規制緩和しよう。

カラーリングも大丈夫だろう。

カットだけ美容師免許者にしよう。

とじわじわ規制緩和をしてくるのである。


これは多くの産業にも言えることであり、なんでもかんでも規制緩和・構造改革をするのが善ではないのである。


個人的には現在の環境において、TPPや農協改革、電力自由化なども同類であると考えている。